夜泣きしない子が夜泣きした日、お義父さんが亡くなった話。

私は俗にいうデキ婚でした。

23歳という社会人として人としてまだまだの私でしたが、息子3人だったため、娘ができて嬉しいとお義父さんは快く迎えてくれました。

これは食べたことある?こんなこと知ってる?と私が知らないことをたくさん教えてくれました。

私にこんなに優しく接してくれるお義父さんでしたから、他の人からも人望が厚い人でした。
妊婦だった私に気を使いしばらくは秘密になってたらしいのですが、私が6ヶ月の頃にお義父さんが膵臓癌でもう手術はできない状態だと伝えられました。私に何ができるか考えてもなにも思いつきませんでしたが、ただ1つ、私は元気な女の子の赤ちゃんを産むことしかできませんでした。

女の子が生まれて、体が辛いのにもかかわらず病院にかけつけてくれたお義父さん。とても喜んでくれて、とても可愛がってくれました。

そんなお義父さんと私はメル友になり、毎日子供の写真を送り時間があればチャットをしていました。お義父さんにどんなメールをすればいいのかわからず、私のまわりに起きた本当にささいなことをつらつらと送っていましたが。そんなメールにもお義父さんは真面目に返信してくれました。季節は巡り、出産して半年の頃…春でした。

お義父さんから写真付きのメールが届きました。桜の木の前でお義母さんと撮った写真でした。そのメールには来年はまだ赤ちゃんが歩いているだろうからみんなでお花見に散歩しようねと書いてありました。

まだ寝返りができたくらいの赤ちゃんでしたので、歩くなんて想像もできなかったですが思い浮かべてみると幸せな気待ちになりました。

その一年後、我が子は歩くようになっていましたが、お義父さんはいませんでした。

どんどん体調が悪くなり、病院も追い出され自宅で寝たきりになったお義父さん。

7月にはいり、もうその時がいつくるのかわからないからと三兄弟は実家に泊まっていました。7月8日の朝5時過ぎ、いつもなら私も寝ている時間でしたがその日は子供が泣いたので起きていました。夜は寝たら朝まで起きない子だったので珍しいなと思ってあやしていたら主人から電話があり、今さっき亡くなったよと。

お義父さんは最後に会いに来てくれたのかなと、その時思いました。私がメールで送っている子供の写真を印刷して毎日行く喫茶店でまわりのお友達に自慢していたくらい愛してくれたお義父さんでしたので、お別れを言いにきてくれたのかなと少しだけ心があたたかくなりました。