突然した線香の匂いは、虫の知らせだったの? 大好きだったおばあちゃんが亡くなった時の話。

あれはもう20年以上も昔のある寒い冬の夜の事でした。

当時、僕はまだ仕事の関係で東京の三鷹市というところに住んでいました。
毎日、毎日、会社と自宅を往復するだけの退屈な日々でした。
そんなある日、僕は、仕事から帰ってくると、いつものように、ビールを片手にお弁当を食べ、その後、お風呂に入って、AM0:30頃にベッドに入りました。

そして、そのまましばらくのあいだウトウトとしていたのですが、そのうち眠ってしまいました。
しかし、なぜか、眠りが浅く、途中で何度も目が覚めてしまい、結局、AM3:00頃に気分を変えようと近くのコンビニに行きました。

真冬で、しかも真夜中だったので、外は酷く寒かった事をよく覚えています。
そうして、住宅街の人気のない道を独り寒さに凍えながら、歩いていると、やがてコンビニの明かりが見えてきました。

(助かった。)

そう思いながら、僕はさっそく暖かいコンビニの中へと逃げ込みました。
すると・・・。
なぜかコンビニの中に、突然プ~ンと強烈な線香の臭いが充満していたのです。
僕は、当時、このコンビニをよく利用していたのですが、こんな事は初めてでした。

(いったい何だろう? 掃除でもしているのかな?)

そんな事を考えながら、店内を見て回りました。

しかし、掃除しているような様子はまるでなく、そして、仮に掃除していたとしてもこんな臭いがしていた事はかつて一度もありません。

(じゃ、いったいなんなんだろう?)

気になってしまい、店内をくまなく何回も見て回ったのですが、結局、なぜこんな強烈な線香の臭いがしているのか、その原因はわからずじまいでした。

(まぁ、いいか。)

そのうちついにあきらめた僕は、買い物をすませると、自宅のマンションへと戻ってきました。

そして、買ってきたカップラーメンを食べ、ジュースを飲み、再び、ベッドにもぐりこんで、寝ていると、僕は、突然、けたたましい電話のベルに叩き起こされました。

枕元に置いていた携帯で時間を確認してみると、まだAM4:00ほどでした。

(こんな夜中に誰だろう?)

そんな事を考えながら、寝ぼけ眼をこすりつつ、電話に出てみると、開口一番、電話をかけてきた僕の妹が言いました。

「兄ちゃん、おばあちゃんが亡くなりました」

びっくりしました。死因は肺炎でした。

インフルエンザから肺炎を併発してしまったそうです。

そして、その日は、そのまま寝ずに起きていて、朝一番の飛行機で故郷の熊本へと帰りました。

僕には霊感など全くなく、今までに幽霊など一度も見た事がありません。
そして、こんな不思議な体験をした事もそれ以来一度もありません。